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子連れで再婚、養子縁組したら。【戸籍・子供の苗字・遺産相続】

子供を持つシングルマザーが再婚を考えたときに必ずと言っていいほど考える「養子縁組」。
してもいいし、しなくても再婚は出来ますが、どちらが子供にとっても家族にとってもいいのか、将来も含めてよく考えなければいけません。

ちょっと複雑で難しそうですが、再婚相手と連れ子を養子縁組すると何がどうなるのか、詳しく見ていきましょう。

「普通養子縁組」と「特別養子縁組」

まず、養子縁組には2種類あります。

【普通養子縁組】
具体的な血縁関係とは無関係に、人為的に親子関係を発生させること。

【特別養子縁組】
児童福祉のための養子縁組の制度で、様々な事情で育てられない子供が家庭で養育を受けられるようにすることを目的に設けられた。
(Wikipediaより)

一般的な再婚で行われるのは「普通養子縁組」で、「特別養子縁組」がされるのは非常にまれです。

この2つの違いはいくつかありますが、決定的に大きく違うところがあります。

シングルマザーと、新しく父となる男性が養子縁組するときを例に挙げてみましょう。

普通養子縁組 特別養子縁組
実親との関係 実の父とも親子のまま。 実の父との親子関係がなくなる。
相続 新しい父(養親)と実の父の両方の法定相続人である。 実の父の法定相続人ではない。
扶養義務 新しい父(養親)との間に扶養義務が生まれる。
子供と実父の間に、お互いに扶養義務が残る。
新しい父との間に扶養義務が生まれる。
子供と実父の間に扶養義務はない。
戸籍 「養子」「養女」と記載される。 「長男」「二女」と記載される。

「特別養子縁組」をすると、元々本当の親子だったようになりますが、「実の父親が重大な犯罪を犯した」などの特別な事情がある場合のみに認められることがあるようです。

たとえ前回の離婚の原因がDVであったとしても、それは別の方法で解決すべきとされており、特別養子縁組までは認められないということですね。

 

養子縁組で連れ子と再婚相手は「親子」になれる。

再婚するときに連れ子と養子縁組をすると、法的にも「親子関係」になります。

手続き 養子縁組届を市役所等へ提出。(裁判所の許可は必要なし)子の母の同意が必要。
戸籍 新しい父(養父)の戸籍に入る。続柄には「養親」「養子」「養女」などと記載される。
扶養 再婚相手は子の扶養義務が発生する。
同時に子にも再婚相手の扶養義務が発生する(多くは養親が高齢になった時のこと。)
相続 子は再婚相手の法定相続人になる。(実父の法定相続人でもある。)
その他 養子縁組を行っても実父との関係がなくなるわけではないので、子には実父の扶養義務も残り、さらに実父の法定相続人でもあり続ける。

この表は、子を持つ母と男性(子なし)が再婚し、養子縁組をしたときを例に挙げたものです。(男性の姓を名乗る場合)

戸籍は「養子」「養女」となりますが、相続や扶養義務を見ると紙の上でもしっかりと親子関係を証明できますね。

逆に、再婚して一緒に住んでいても、養子縁組をしなければ見た目は親子でも戸籍上は他人のままなんです。

再婚相手から見れば「妻の子」で、子供から見れば「お母さんの夫」となり、家族内で父と子に直接の関係はないということになります。

 

婚姻届・養子縁組届・入籍届で変わる子供の戸籍と苗字。

再婚をする時にはいろんな手続きが必要になりますが、その手続きの内容によって、法的な親子関係が出来るかどうかや、子供の戸籍と姓(苗字)は大きく変わります。

ここでは、子供を持つ母が男性(子なし)と再婚し、母親は男性の姓を名乗るとき、いくつかある子供の手続きのパターンを見ていきましょう。

婚姻前

  • 男性(苗字AA)の戸籍・・・男性1人または両親の戸籍。
  • 女性(苗字BB)の戸籍・・・女性とその子供1人。

婚姻前はそれぞれの戸籍を持ち、女性の戸籍には子供が入っています。

婚姻届を提出すると・・・

  • 男性の戸籍・・・男性と女性。2人の苗字はAA。
  • 女性の(元)戸籍・・・子供1人のみ(母は除籍される)。子供の苗字はBB。

再婚ですから、まずは婚姻届を提出しますね。
これは再婚する2人の手続きです。

女性は男性の戸籍に入り、苗字も男性の苗字になりますが、子供は女性の元戸籍に取り残された状態です。

子供の苗字を変えたくない、養子縁組されない方は、このままの状態でおいておきますが、この状態でも外見上は親子として一緒に生活できます。

パターン① 養子縁組届を提出。

  • 男性の戸籍・・・男性・女性・子供。苗字は全員AA。
  • 女性の(元)戸籍・・・誰もいなくなる。

養子縁組届を提出することで、外見上だけでなく法的にも親子になります。
自動的に子供の苗字は男性の苗字になり、全員同じ苗字を名乗ることが出来ます。
婚姻届と同時に提出できます。

パターン② 養子縁組しないが、子供の苗字も男性の苗字に変えたい。

  • 男性の戸籍・・・男性・女性・子供。苗字は全員AA。
  • 女性の(元)戸籍・・・誰もいなくなる。

養子縁組をしなくても、子供の苗字を男性の苗字に変えることが出来ます。
「子の氏の変更」を家庭裁判所へ申し立て、許可が下りたら子供を男性の戸籍に入れるための「入籍届」を市役所等へ提出します。

この手続きでみんな同じ苗字になり、同じ戸籍に入れますが、男性と子供の間に法的な親子関係はありません。

パターン③ 養子縁組もしないし、子供の苗字は元のまま(母親の旧姓)。

婚姻届を出しただけの状態です。
養子縁組や入籍届などの手続きをしなければ、子供の苗字は元のままです。

 

養子縁組しないという選択。

子供を持つ親が再婚するとき、必ず養子縁組しなければいけないということはありません。
中には「養子縁組しない。」という家庭もあります。

では、どのような時に「養子縁組しない。」という選択をされているのでしょうか。

①子供が苗字を変えたくないと言う。

婚姻届を出しただけでは子供の苗字も戸籍も変わりません。
学校で名前が変わるのがイヤな時に、子供の方から親に「苗字を変えたくない。」と申し出ることが多く、養子縁組届を出すと自動的に苗字が変わってしまうことから養子縁組しないという選択をされることがあります。

②元夫からの養育費が減額される可能性がある。

養子縁組をすると、再婚相手の男性には子供の扶養義務が発生します。
元夫にも子供の扶養義務が残りますが、養子縁組することで元夫からの養育費の減額請求が認められることがあります。
この養育費の減額請求が認められる要件の1つに、「再婚相手と養子縁組をする。」というものがあるからです。

このことから養子縁組しないという選択をされることがありますが、再婚相手と生計を一にしているという事実があると、元夫模倣から減額の申し入れがあることもあるようです。

③子供が自分で決められるようになってから考える。

養子縁組というのは法的な親子関係になるということ。
扶養の義務や相続など、家全体に関わる大きなことを背負うことになります。

子供は15歳以上になると、自分で養子縁組するかしないか決めることが出来るので、その時まで待つという方もおられるようです。

養子縁組について、その他にも気になることを挙げてみましょう。

 

養子縁組はしたいけれど、子供の苗字を変えたくない時。

法的にも本当の親子になりたいけれど、子供が苗字を変えたくないというとき。

残念ながら?、養子縁組をすると自動的に子供の苗字は再婚相手の苗字に変わってしまいます。
でも、学校や園に相談して、学校での呼び名は今までの苗字で通してもらえることもあるようです。

公的な文書は再婚後の苗字になりますが、学校生活の中では今まで通りの呼び名で呼ばれ、母も学校では子供に合わせて旧姓で通しておられる方もおられます。

また、次の項目のように、再婚時に男性が女性(母)の苗字を名乗ることを選択すると、母も子も苗字を変えなくてもいいですね。

 

男性が女性(母)の苗字を選択した時。

婚姻届を出すときに、再婚相手が女性(母)の苗字を選択すれば、男性は女性の戸籍に入ることになります。

  • 男性(苗字AA)の(旧)戸籍・・・誰もいなくなる。
  • 女性(苗字BB)の戸籍・・・男性・女性・子供。苗字は全員BB。

婚姻届を出しただけの状態ですが、この場合はこれだけでみんな一緒の苗字になり、子供の苗字も変わらずそのままですね。
でもこれだけでは男性と子供に親子関係はありませんので、ここから男性と子供を養子縁組するかどうかを考えることになります。

 

養子縁組しなかったら子供は男性の健康保険の扶養に入れない?

再婚して養子縁組すると、法的にも再婚相手と子供は親子になるので、子として男性の扶養に入れます。
そして、男性と子供が養子縁組しなくても、男性の健康保険の扶養に入れます。

でも、この場合は「男性と同居していること(生計を一にしていること)」が条件になりますが、大抵の家庭は再婚後一緒に住むと思うので、あまり問題なさそうです。

 

夫婦と連れ子と、再婚後に生まれた子の続柄。

子供を持つ女性が男性と再婚し、養子縁組をすると、連れ子と男性の戸籍の続柄の欄には「養親」「養父」「養子」「養女」などと記載されます。

そして、そのあとに夫婦の間に子供が生まれると、その子はその夫婦にとって初めての子になるので、戸籍への記載は「長男」「長女」となります。

再婚相手との続柄は

  • 連れ子・・・「養子」「養女」
  • 再婚後に生まれた子・・・「長男」「長女」

母との続柄は

  • 連れ子・・・「長男」「長女」
  • 再婚後に生まれた子・・・「長男」「長女」

連れ子も再婚後に生まれた子も男の子の場合、母にとっては2人とも「長男」という記載がされます。
母にとって再婚後に生まれた子が2人目、3人目でも、再婚した夫婦にとっては「長男」「長女」だからという考え方です。

以上のことは戸籍謄本への記載で、住民票への記載は「養親」「養子」「長男」「二男」などもなく、「父」「母」「子」となります。
(ちなみに、男性と連れ子が養子縁組しない時には2人の間には関係がないため、戸籍謄本には何も記載されません。)

 

離婚歴を戸籍から消す方法。

実は、前回の離婚歴を戸籍から消す方法があるんです。
法律違反とか犯罪になるとか、悪いことをするわけではないので、戸籍から離婚歴を消したい方はやってみてくださいね。

離婚歴を戸籍から消すには、「転籍する」という方法があります。

  1. 自分の本籍を他市区町村に移します。
    (本籍は住所地ではないので、日本国内ならどこにおいてもOKです。でも、遠くに本籍を置くと戸籍謄本などを取りたいときに取り寄せなければいけないので手間が増えますね。)
  2. 移動した本籍地に新しい戸籍が作られたのを確認する。(1週間程度)
    新しい戸籍には離婚歴は引き継がれないため、まっさらな戸籍になっている。
  3. 元の本籍地に戻したいときは、しばらくしてから戻す。
    戻ってきた戸籍にも離婚歴が残っていることはなく、前の戸籍が引き継がれることもない。

このようにすれば、自分の戸籍謄本をとっても「離婚」というものは見えなくなります。

【注意!!】

  • 離婚をしたという表示が消えても、子供の実父、実母の名前は消えません。
  • 「転籍」をしたという経過が表示されるので、転籍をすれば離婚歴が消えるということを知っている方が見ると怪しく思われることもあります。
  • 同じ市区町村内で本籍を移しても、離婚歴は消えません。
  • 転籍をして、戸籍謄本や住民票上に載っていなくても、離婚歴を全く消すことは出来ません。(除籍謄本というものをたどればすぐに分かる)

(参考元:戸籍から離婚歴を消す方法を教えてください

 

親子の絆は養子縁組だけではない。

養子縁組について、私はその中身まで詳しく知らなかったのですが、「再婚したら養子縁組する」のが普通だと思い込んでいた自分の考えが分からなくなりました。

外見だけでなく紙の上でも親子であることを求める以上に、信頼関係や相手を思う気持ちがあった上での養子縁組をしないという選択があること。
それが子供にとって幸せな選択になることもあるということ。

養子縁組をすることだけが「本当の親子」ではないんだなと感じました。

ただ、養子縁組をすることで、親の方の気持ちはかなり引き締まりますね。
再婚相手が子供を育てる責任を背負うということはとても大きなことで、それを法的にも約束するということは、再婚相手にとっては大きな決断。

そして連れ子の親である方も、もう二度と子供に悲しい思いはさせないという決意が改めて生まれますよね。

あとあとになって、子供が扶養や相続でもめないように考えてあげることも、再婚する親同士の責任だと感じます。


ステップファミリーをいかに生き,育むか―うまくいくこと,いかないこと